- 蕁麻疹の原因はストレス?
疲れとの関係とは - かゆい・赤い発疹…
蕁麻疹の代表的な症状とは - 蕁麻疹と湿疹の違いとは?
特徴や見分け方のポイント - 蕁麻疹の治し方
- 蕁麻疹が出たときの応急処置は?
アナフィラキシーに要注意
蕁麻疹の原因はストレス?
疲れとの関係とは
蕁麻疹とは、皮膚に境目のはっきりした、かゆみを伴う赤い盛り上がりが生じ、その後24時間以内(多くは数時間以内)に跡形もなく消失する病気です。
蕁麻疹は、皮膚組織内に蓄えられたヒスタミンなどの化学伝達物質が、何らかの原因によって放出されることで発症します。多くは原因が特定できません。
ストレス・疲れ
大きなストレス、過労などは、しばしば蕁麻疹の原因となります。
食べ物
青魚、甲殻類などさまざまな食べ物の摂取が原因になります。食べ物に含まれるヒスタミンが原因になることもあります。
その他
薬剤、植物・昆虫、運動、発汗など、さまざまな誘因があります。
誘因となる物質の例
食物 | サバ・カニ・エビ・乳製品・卵製品・肉類・穀類・大豆・小麦・蕎麦など |
---|---|
食品添加物 | 防腐剤・人工着色料など |
薬剤 | 抗生物質・アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬・咳止めなど |
植物・昆虫 | ゴム・イラクサなどとの接触、ハチに刺されるなど |
環境・刺激 | 運動・発汗・食物の摂取・内臓疾患・衣類との摩擦や圧迫・寒冷刺激・温熱刺激・紫外線など |
かゆい・赤い発疹…蕁麻疹の
代表的な症状とは
突然の境界の明瞭な赤い盛り上がり、かゆみが主な症状となります。発疹は丸みを帯びたものが多いものの、地図のように複雑な形をしていることもあります。
夕方や夜間に発症することが多く、その後、24時間以内(多くは数時間以内)に跡形もなく消失します。短時間で消えるものの、何度か繰り返されるという特徴があります。
蕁麻疹の種類
- 急性蕁麻疹
- 慢性蕁麻疹
- 物理性蕁麻疹
- コリン性蕁麻疹
- アレルギー性蕁麻疹
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
- 不耐症による蕁麻疹
- 血管性浮腫
- 接触蕁麻疹
急性蕁麻疹
ほぼ毎日繰り返される蕁麻疹のうち、発症後6週間未満のものを指します。感冒や上気道感染の既往が発症のきっかけとして重要です。また、ストレスや疲れなどが原因になることもあります。
慢性蕁麻疹
ほぼ毎日繰り返される蕁麻疹のうち、発症後6週間以上が経過したものを指します。多くの場合、原因を特定できません。
物理性蕁麻疹
機械的な摩擦、圧迫、温熱・寒冷、紫外線、振動など、物理的な刺激によって引き起こされる蕁麻疹です。
コリン性蕁麻疹
1~4mm程度の小さな盛り上がりが生じる蕁麻疹です。発汗を主な原因とし、比較的若い世代に見られます。
アレルギー性蕁麻疹
特定の食べ物、薬剤、昆虫などがアレルゲンとなって発症するタイプの蕁麻疹です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
誘因となる食べ物を食べ、1~4時間以内に運動することで引き起こされるアナフィラキシーです。非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用によりさらに症状が悪化します。
不耐症による蕁麻疹
非ステロイド系消炎鎮痛薬、アスピリン、色素、食べ物に含まれるサリチル酸、造影剤などを原因として起こる蕁麻疹です。
血管性浮腫
唇やまぶたが腫れあがり、数日以内に消失します。遺伝的な要因が疑われます。
接触蕁麻疹
皮膚あるいは粘膜に物質が接触して数分~数十分後に蕁麻疹が生じるものです。アレルギー性接触蕁麻疹と非アレルギー性接触蕁麻疹とに分類されます。前者の代表はラテックスアレルギー、後者は昆虫アレルギーなどがあります。
蕁麻疹と湿疹の違いとは?
特徴や見分け方のポイント
蕁麻疹と湿疹の症状には、共通する部分があります。
しかし、ポイントを抑えれば、見分けることはそれほど難しくありません。
蕁麻疹の症状の特徴
突然、かゆみを伴う赤い盛り上がりが生じます。盛り上がりは多くの場合、円型ですが、地図のように複雑な形として現れることもあります。
発症後、24時間以内(多くは数時間以内)に跡形もなく消失します。
湿疹の症状の特徴
湿疹は皮膚の炎症によって起こる症状を指し、赤み、かゆみ、ブツブツ、水ぶくれ、かさぶたなどさまざまな形で現れます。
症状は、数日~数週間ほど続きます。
見分け方のポイント
症状の持続時間
蕁麻疹は早ければ数分、ほとんどは数時間以内に、長くても24時間以内に消失します。
一方の湿疹は、数分・数時間で消えるということはまずありません。
発疹の境界線
蕁麻疹では、赤い盛り上がりの境界線がくっきりとしています。
湿疹は、境界線がやや曖昧であることが多くなります。
経過
蕁麻疹は、繰り返すことがありますが、約90%が1ヶ月以内に治まります。
湿疹は、慢性化しやすいという特徴があります。
蕁麻疹も湿疹も、見分けがついたとしても、症状が辛いことに変わりありません。また、医師が診察・検査をすると違う病気だったということもあるため、放置せず、お早目にご相談ください。
蕁麻疹の治し方
医療機関を受診する
病院やクリニックでは、主に以下のような検査・治療を行います。
検査
詳しく症状をお伺いしたり、実際に拝見することで、基本的に特別な検査なしで診断ができます。思い当たる誘因などあれば、医師にお伝えください。
アレルギーが疑われる場合などは、血液検査を行います。
内服薬
抗ヒスタミン薬の内服が治療の中心となります。蕁麻疹が消失している場合も、薬物療法によって、再発予防の効果が期待できます。
その他、H2拮抗薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド、生物学的製剤などを処方することもあります。
冷やす
保冷剤をタオルで包んだもの、氷嚢などで患部を冷やすと、かゆみの軽減が期待できます。
反対に温めるとかゆみが強く出るため、運動・入浴などはお控えください。シャワーは基本的に問題ありませんが、温度設定を下げるようにしてください。
十分な休養・
ストレスを溜めない
心身とも、ゆっくりと休めてください。過労やストレスは、蕁麻疹の原因の1つとなります。
皮膚への刺激を減らす
機械的な摩擦、圧迫、温熱・寒冷、紫外線、振動などは、蕁麻疹を悪化させるおそれがあります。衣類・室温などにご注意ください。
誘因と思われるもの・
経過を記録する
蕁麻疹は、原因を特定できないことが少なくありません。ただ、「どんな時・何をした時に蕁麻疹が出たか」を記録しておくことで、原因を絞れる・特定できることがあります。
蕁麻疹が出たときの
応急処置は?
アナフィラキシーに要注意
蕁麻疹が出たとき、医療機関を受診するまでのあいだは、以下のようなことにご注意ください。
運動・入浴を控え、
患部を冷やす
かゆみなどの症状を悪化させないため、身体を温める行為はお控えください。またタオルで包んだ保冷剤、氷嚢などで患部を冷やすと、かゆみが和らぎます。
皮膚への刺激を避ける
ゆったりした服を着る、エアコンなどで室温を調整する、直射日光を浴びない等の工夫により、皮膚への刺激を減らしましょう。
アナフィラキシーに
注意する
アレルゲンと接触したり、アレルゲンを摂取することで、短時間のうちに皮膚症状、呼吸器症状、循環器症状が現れた状態を「アナフィラキシー」と言います。
場合によっては、意識障害などを起こしショック状態(アナフィラキシーショック)に至ることがあるため、症状に気づいた時には、すぐに当院を受診してください。
なお当院では、アナフィラキシーショックを防ぐためのエピペンの処方を行っております。
アナフィラキシー症状
皮膚症状に加え、以下のような症状がある場合には、様子見をせず、すぐに受診してください。
- 口、のどのかゆみ
- 胸やのどの不快感
- 吐き気
- 唇、まぶたの腫れ
- 声枯れ
- ケンケンという犬の鳴き声のような咳
- 喘息発作
- 呼吸困難
- 繰り返しの嘔吐
- 意識障害、ぐったりしている
※呼吸困難、繰り返しの嘔吐、意識障害(呼んでも反応しない)といったアナフィラキシーショックが疑われる場合には、救急外来を受診してください。