- 変形性関節症とは?
指や手に起こる代表的な種類 - 親指の付け根が痛くなる
「母指CM関節症」とはどんな病気? - 母指CM関節症の主な症状
- 母指CM関節症の原因
- 母指CM関節症の検査・診断
- 母指CM関節症の治療
- 母指CM関節症の再発防止・予防法
変形性関節症とは?
指や手に起こる代表的な種類
変形性関節症とは、関節の軟骨の擦り減りによって、痛みや変形といった症状が見られる病気の総称です。
よく知られたものに膝関節で発症する変形性膝関節症が挙げられますが、手指でも母指CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節などが見られます。
母指CM関節症
場所
親指の付け根にあるCM関節(手根中手関節)
特徴
物をつまむ・握る、手首をひねる動作などの際に痛みが出ます。
瓶やペットボトルの蓋をあける時、ドアノブを回す時に痛みを感じたり、その動作が困難になったりします。
変形
進行すると、親指の付け根のあたりに出っ張りが生じます。
へバーデン結節
場所
指の第一関節(DIP関節)
特徴
指の第一関節の痛み、腫れといった症状が見られます。また、中高年の女性に多い病気です。
変形
進行すると、指の第一関節が太く変形します。
ブシャール結節
場所
指の第二関節(PIP関節)
特徴
指の第二関節の痛みや腫れ、変形が起こります。中高年の女性によく見られます。
変形
進行すると指の第二関節が腫れ、曲がった状態になることがあります。
親指の付け根が痛くなる
「母指CM関節症」とは
どんな病気?
母指CM関節症とは、親指の付け根にあるCM関節(手根中手関節)で、痛みや腫れ、変形などが生じる病気です。
母指CM関節は広い可動域を持ち、つまむ・握るといった、日常生活で頻繁に必要になる動作の際に機能します。それゆえに、母指CM関節症を発症すると、さまざまな場面で不自由が生じます。
母指CM関節症の主な症状
軟骨の擦り減りにより関節の隙間が狭くなり、骨硬化、骨棘が生じることで、主に以下のような症状が現れます。
初期症状
親指の付け根の痛みが主な症状となります。
特に、瓶・ペットボトルの蓋をあける時、ドアノブを回す時などに、痛みが出やすくなります。
中期症状
親指の付け根に腫れが生じ、親指の開きが悪くなります。
さらに進行すると、手前の関節が反りかえるという、特徴的な変形(スワンネック変形)が見られます。
母指CM関節症の原因
母指CM関節は、関節包靭帯によって支えられており、この靭帯が緩むことで、母指CM関節症を発症します。
主な原因は加齢です。その他、外傷(骨折・脱臼)、関節リウマチ、痛風、先天的な関節の形状異常・形成不全、遺伝的要因も、母指CM関節症の原因となることがあります。
母指CM関節症の検査・診断
問診・視診・触診
問診では、痛みなどの症状について詳しくお伺いします。
その上で、腫れ・変形に対する視診、押した時の痛みの出方を調べる触診を行います。
親指の動作テスト
物をつまむ・握る、親指をひねる動作などで痛みが出るかどうかのテストを行います。
関節の不安定性、力の入りにくさなどが分かります。
X線(レントゲン)検査
関節の隙間の広さ、骨の擦り減り、関節の変形の程度、骨棘の有無などを調べるため、レントゲン検査を行います。
レントゲン検査により、確定診断ができます。
他の疾患との鑑別
似た症状を持つドケルバン病、関節リウマチなどとの鑑別のため、血液検査を行うこともあります。
母指CM関節症の治療
母指CM関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。
装具療法
まずは装具による局所の安静を最優先します。
薬物療法
痛みが強い場合、消炎鎮痛剤の内服、湿布なども必要です。
リハビリテーション
温熱療法や超音波治療といった物理療法、筋力・柔軟性アップのためのトレーニングやストレッチを行います。
関節の動きを改善し、痛みの軽減を図ります。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合、痛みが強くすでに日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術を検討します。
関節形成術、関節固定術など、いくつかの術式があります。年齢、ライフスタイル、ご希望などを考慮して、術式が選択されます。
母指CM関節症の
再発防止・予防法
母指CM関節症は、治療によって症状が改善しても、再発することがあります。
以下のような方法により、再発防止に努めましょう。予防としても有効です。
親指への負担を減らす工夫
親指(母指)に過度な負担がかからないよう、普段から注意しましょう。
強く握る(握ってひねる)、重い物を持つといった動作は、母指CM関節への負担が大きくなります。
ドアノブなどは手のひらでしっかり包んで回す、重い物を持つ時には両手を使う、台車を使うといった工夫が有効です。
サポーターや装具の活用
装具などにより局所を安静に保つ方法です。
関節周囲の筋力・
柔軟性強化
関節まわりの筋力を鍛えたり、ストレッチで柔軟性を高めることは、母指CM関節症の予防となります。
ただし、痛みなどの症状がある時はお控えください。