- 「関節リウマチ」とはどんな病気?
- 関節リウマチの主な原因
- 関節リウマチの初期症状に現れる
痛みや違和感・部位とは - 関節リウマチになりやすい
体質や傾向(性別・年齢など) - 血液検査だけでは不十分?
診断に必要な検査 - 関節リウマチの治療法
- 関節リウマチでも長生きできる?
寿命への影響 - 日常生活で気をつけたいこと・
控えるべき行動
「関節リウマチ」とは
どんな病気?
リウマチとは、手・肘・肩・膝・足などの関節に炎症、および痛み・腫れが生じる病気です。これらの症状によって日常生活に支障をきたしますが、「歳のせい」と放置されるケースが少なくありません。進行すると、関節の変形や破壊が起こり、治療が難しくなります。
リウマチは、目に見える症状(関節の変形など)が年齢を重ねてから現れることが多いことから、高齢者の病気と捉えられがちですが、発症年齢は30~50代と一般的なイメージよりも低くなっています。また、女性に多い病気です。
関節リウマチの主な原因
関節リウマチは、何らかの原因で免疫機能に異常が生じ、自分で自分の関節を誤って攻撃するために起こる病気です。なぜそのような免疫機能の異常が生じるのか、はっきりしたことは分かっていませんが、現在のところ以下のような要因が影響していることがわかっています。
遺伝的要因
関節リウマチの血縁者がいる方は、ご自身も関節リウマチの発症リスクが高くなります。
ホルモンバランスの変化
出産・閉経などの際には女性ホルモンのバランスが大きく変化し、これが関節リウマチの発症に影響すると言われています。
感染症やウイルス
一部の感染症を原因として免疫の異常が起こり、関節リウマチを発症することがあります。
ストレスや生活習慣
精神的ストレスや過労、喫煙なども、リウマチの発症リスクを高めるものと考えられます。
関節リウマチの初期症状に
現れる痛みや違和感・部位とは
関節リウマチの初期症状としては、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、微熱などの全身症状が挙げられます。
ただ、これらの症状も必ずしも初期に現れるとは限らないため、気になる症状があった時には、放置せずお早目にご相談ください。
関節リウマチの症状は大きく、全身症状と関節症状に分けられます。
全身の症状
関節症状と比べて、早期に現れることが多くなります。
- 倦怠感、身体が重い感じ
- 食欲不振
- 体重減少
- 微熱
関節の症状
関節の症状は、手指、手首、肘、肩、膝、足指、足首などに見られます。また、小さい関節から発症する・左右対称に現れるという傾向があります。
- 関節の痛み、腫れ
- 関節のこわばり(特に起床時)
- 関節の熱感、圧痛、動かした時の痛み
- 関節の変形(重症例)
関節リウマチになりやすい体質や傾向(性別・年齢など)
女性に多い
関節リウマチ患者の男女比は1:3~4と、明らかに女性に多く見られます。
30~50代に多い
関節リウマチは年齢に関係なく発症しうる病気ですが、中でも30~50代での発症が目立ちます。
喫煙者
喫煙は関節リウマチのリスク因子の1つと考えられ、実際に喫煙者は非喫煙者よりも発症率が高くなるという報告があります。
遺伝的要因
血縁者に関節リウマチ患者がいる場合、そうでない場合と比べて発症リスクが高くなると言われています。
血液検査だけでは不十分?
診断に必要な検査
関節リウマチは、血液検査だけでなく、いくつかの検査を組み合わせ、総合的に診断する必要があります。
血液検査
血液中の特定の抗体、炎症反応を調べます。
リウマトイド因子(RF)
7~8割で陽性となります。
抗CCP抗体
特異性が高い抗体です。
CRP、赤沈(ESR)
体内の炎症の有無・程度を調べます。病気の活動性も把握できます。
画像検査
(X線、超音波など)
X線検査
関節の骨の破壊、関節の変形の有無を調べます。破壊や変形は、ある程度進行してから認められる所見となります。
関節超音波検査
滑膜の炎症、関節液の貯留について、リアルタイムで把握できます。
関節液検査
関節液を採取して調べ、炎症の種類・程度を把握します。
身体診察
医師の触診により、腫れ・圧痛・動かした時の痛みの有無、可動域などについて調べます。
このように、さまざまな検査・医師による診察を行うことで、より正確に診断することができます。
関節リウマチの治療法
薬物療法
治療の中心となるのが、薬物療法です。
抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などを使用します。炎症や痛みを抑えたり、病気の進行を食い止めたりするのに役立ちます。
症例によっては、関節内へのステロイド注射を行うこともあります。ステロイドは、期間を限定し慎重に使用します。
手術
保存的治療で十分な効果が得られない場合、変形が進んでいる場合には、変形を矯正する手術、人工関節に置き換える手術などを検討します。
関節リウマチでも
長生きできる?寿命への影響
関節リウマチの方は、寿命が短い傾向がありました。しかし、近年、早期診断と早期治療が可能となり、寿命への影響は改善されてきました。
早期からの適切な治療
により、合併症を予防しましょう
リウマチの代表的な合併症としては、間質性肺炎が挙げられます。特にご高齢の方の場合、肺炎の発症は時に命にかかわります。
また、長期の炎症を原因とする血管障害(脳梗塞・心筋梗塞)、腎不全などもリウマチの合併症に数えられます。
上記のような病気を合併しない場合も、身体機能の低下によってQOLが低下する・若くして介護が必要になるといった問題が懸念されます。
ただ、近年は適切な治療によって通院や投薬が必要なくなる「完治」が叶うケースも増えています。完治に至るかどうかは症例によって異なりますが、まずは症状が抑えられる「寛解」を目指し、合併症を予防することが、寿命の伸延のためには大切になります。
日常生活で気をつけたいこと・控えるべき行動
喫煙をしている人は禁煙を
喫煙は、リスク因子の1つです。生活習慣病、がんなどの予防のためにも、禁煙をしましょう。
ストレスをためない・
解消する
精神的なストレス、過労は発症リスクを高めると言われています。心身を労り、ストレスをためない・解消することを意識しましょう。
治療で痛みを落ち着かせてからは、適度な運動をする
運動不足は筋力の低下を招き、QOLを低下させます。まずは治療により痛みを軽減し、リハビリを含め運動ができる状態を取り戻しましょう。
急性期や症状が強く出ている時は激しい運動を控える
急性期、症状が強く出ている時に激しい運動をすると、症状が悪化します。運動の可否や程度は、医師とよく相談した上で判断しましょう。
ハイヒール・
合わない靴を履く
足を圧迫するような靴は、関節の変形を加速させてしまいます。サイズはもちろん、形についても、ご自身に合ったものを選びましょう。