ブロック注射(ブロック療法)
ブロック注射は
「めちゃくちゃ痛い」って本当?
ブロック注射は、全身のさまざまな部位に対して実施できる治療です。また、その部位によって、ブロック注射の痛みの程度も変わってきます。
ほとんど痛みのないケースから、ブロック注射の痛みを抑えるための麻酔をするケースまであります。当院では、少しでもブロック注射の痛みを軽減できるよう、細い針を使用したり、お声がけをしてリラックスしてもらったりと、対策を講じています。ブロック注射の経験が豊富な整形外科専門医がブロック注射を行いますので、痛みについて、それほど心配される必要はありません。
ブロック注射とは
ブロック注射とは、神経の近くに麻酔液を注射することで、一時的に神経の興奮が抑え、痛みを軽減するという治療です。即効性が高く、お薬の内服とは異なり、全身への影響が少ないという特長があります。
麻酔液の作用は一時的ですが、「痛む→動かせなくなる→血流の悪化や可動域の減少が起こる→余計に痛む」という悪循環を断ち切る治療であるため、麻酔液の作用が切れてからも、痛みを感じにくくなることが期待できます。決して、その場しのぎの治療ではないのです。
ただ、基本的に1回で完了する治療ではなく、経過を見ながら、1~2週間間隔で、複数回繰り返します。
ブロック注射の対象となる痛みの症状・疾患
整形外科領域では、主に以下のような疾患に対して、薬物療法などで十分な効果が得られない場合に、ブロック注射を実施します。
運動器(脊椎・関節)に伴う痛み
- 腰痛
- 首の痛み
- 坐骨神経痛
- 膝の痛み
- 肩の痛み
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 頚椎症性神経根症 など
これらの痛みは、日常生活に大きな支障をきたすことが多いため、ブロック注射により早期の痛み緩和を目指します。
各種神経痛
- 三叉神経痛
- 帯状疱疹後神経痛 など
顔面や体の一部に強い痛みを引き起こす神経痛にも、ブロック療法は効果的です。
頭痛
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
慢性的な頭痛に対しても、原因に応じて適切な部位へのブロック注射を行い、痛みの緩和を図ります。
その他
- 外傷や骨折に伴う痛み
- リウマチによる痛み
- がんによる痛み など
これらの慢性的な痛みや難治性の痛みでも、ブロック注射を用いることで症状の軽減をサポートします。
ブロック注射の効果はいつから?持続時間と治療の頻度
効果が出るまでの時間
ブロック注射は、即効性の高い治療です。症例によって異なりますが、注射後数分から数十分程度で、長くても数時間以内に、痛みが軽くなったと実感されるケースがほとんどです。
効果の持続時間
効果の持続時間については、個人差が大きく、数時間程度のこともあれば、数ヶ月以上に及ぶこともあります。
効果が短すぎる場合には、ブロック注射の種類を変更するなどして、効果の長期化・安定化を図ります。
注射の頻度と間隔
ブロック注射は通常、1~2週間間隔で、計2~7回、繰り返します。ただし、痛みが強く出ている場合など、短期間で複数回、ブロック注射を行うこともあります。
ブロック注射の流れ
ブロック注射を行う際の、基本的な流れをご紹介します。
1ご予約・受診
まずはご予約の上、受診してください。
マイナ保険証(または保険証)、お薬手帳、またお持ちでしたら、紹介状、他院で撮影した画像検査の結果もご持参ください。
2問診・医師の診察・検査
問診票へのご記入ののち、医師が診察を行います。
症状や疾患の経過、服用中のお薬、身体所見などを確認した上で、必要に応じて血液検査・レントゲン検査などを行います。
3ブロック注射についてのご説明
ブロック注射の適応となる場合、その内容について詳しくご説明します。
ご理解、ご同意いただけましたら、治療へと移ります。
4ブロック注射・安静
ブロック注射自体は、数分で終わりますが、その後院内で20~60分ほど、安静にしていただきます。
お身体の状態に問題がないことを確認できれば、お帰りいただけます。
5効果判定
再度ご来院いただき、治療の効果を確認します。
必要に応じて、1~2週間ごとに、ブロック注射を繰り返します。
ハイドロリリース
(筋膜リリース)
- ハイドロリリース(筋膜リリース)は、筋膜の癒着を剥がして痛み・しびれを改善?
- 筋膜の役割と痛みの関係
- ハイドロリリースの対象となる
症状・疾患 - ハイドロリリースの効果はいつから?
持続時間と治療の頻度 - ハイドロリリースの費用
ハイドロリリース
(筋膜リリース)は、
筋膜の癒着を剥がして
痛み・しびれを改善?
ハイドロリリースとは、筋膜へと薬液を注入し、癒着した筋膜・神経を剥がすことで、筋肉の動きと痛み・しびれの改善を図る治療です。薬液の注射は、超音波画像で筋膜とその周辺組織をリアルタイムで確認しながら、正確に行います。
薬液は微量の麻酔液と生理食塩水で構成されており、局所的な治療であることから、安全性が高く低侵襲です。
筋膜の役割と痛みの関係
筋膜は、筋肉表面や筋線維、骨、内臓、血管、神経などとつながっており、その組織を保護したり、支えたり、力を伝達したりする役割を担っています。
そして筋膜および神経が癒着することで、次のような症状が引き起こされます。
- 痛み、しこり
- しびれ
- 筋力や柔軟性の低下
- 関節の可動域の減少
ハイドロリリースの
対象となる症状・疾患
ハイドロリリースは、主に以下のような症状・疾患に対して、痛みやしびれの改善といった効果が期待できる治療です。
- 肩こり
- 首の痛み(寝違え、むち打ちなどの頚椎捻挫)
- 背中の痛み
- 腰痛、ぎっくり腰
- 手根管症候群
- 肘部管症候群
- 梨状筋症候群
- 術後創部癒着
- 筋筋膜性腰痛
- 外傷後の痛み、しびれといった後遺症
ハイドロリリースの効果はいつから?持続時間と治療の頻度
効果が出るまでの時間
症例によって異なりますが、ハイドロリリースは、多くの場合、治療直後から痛み・しびれの軽減が実感できます。
効果の持続時間
効果の持続時間にも、数日~数週間と個人差があります。繰り返し治療を行うことで、より安定した効果が得られるようになります。
治療の頻度と間隔
通常、1~2週間に1回、最大で計10回程度行います。ただし、症状が強く現れている場合など、短期間で複数回の治療を行うこともあります。
ハイドロリリースの費用
初回 | 保険適用 |
同日に複数の箇所実施する場合 | 同日+3,300円 |
---|---|
同月に2回以上実施する場合 | 6,600円 |
両肩・首 | 6,600円 |
部位追加ごと | 3,300円 |
サイレントマニュピレーション(非観血的関節授動術)
- 肩が上がらない・動かない…そんな四十肩・五十肩にサイレントマニュピレーション
- サイレントマニュピレーションの対象となる症状・疾患
- サイレントマニュピレーションの効果はいつから?持続時間・治療頻度
- 治療の流れ
- 治療後の痛みは?注意事項
- サイレントマニュピレーションの費用
肩が上がらない・動かない…そんな四十肩・五十肩にサイレントマニュピレーション
サイレントマニュピレーション(非観血的関節授動術)とは、肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)が進行した、肩が上がらない等の肩関節拘縮に対する治療法です。
肩関節拘縮の治療法としては、他に注射・リハビリテーションなどもありますが、可動域が大きく減少している場合には有効でないことも多く、サイレントマニュピレーションが選択肢の1つになります。
サイレントマニュピレーションでは、肩周囲に麻酔をかけた上で、医師が肩関節を愛護的に動かし、その動きの改善を図ります。
サイレントマニュピレーションの対象となる症状・疾患
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)が進行し、肩関節拘縮をきたしている症例が主な対象となります。
具体的には、以下のような症状が見られるケースです。
- 肩関節の可動域が大きく減少している
- 肩が上がらない
- 就寝時の痛みがある
- 注射やリハビリテーションのみでは十分な効果が得られない
サイレントマニュピレーションの効果はいつから?
持続時間・治療頻度
効果が出るまでの時間
症例によって異なりますが、多くの場合、治療の直後から痛みや可動域の改善をご実感いただけます。
効果の持続時間
効果の持続時間は、サイレントマニュピレーション後のリハビリへの取り組み方によって大きく変わってきます。積極的なリハビリにより、効果が持続する可能性が高くなります。一方でリハビリや運動が不足すると、効果の持続時間は短くなります。
治療の頻度と間隔
1回の治療で症状の大幅な改善を目指す治療です。ただし、リハビリが不足した場合など、2回目が必要になることもあります。
サイレントマニュピレーションは、効果・即効性の高い治療ですが、その後のリハビリの内容によって結果に大きな差が出ます。リハビリの重要性もご理解いただき、ご協力くださいますよう、お願いします。
治療の流れ
サイレントマニュピレーションの基本的な流れをご紹介します。
1ご予約・受診
まずはご予約いただき、受診をお願いします。
マイナ保険証(または保険証)とお薬手帳、お持ちでしたら紹介状、他院での画像検査の結果もご持参ください。
2問診・医師の診察・検査
問診票へとご記入いただきましたら、医師が診察を行います。
症状・疾患の経過、服用中のお薬、身体所見などを確認した上で、サイレントマニュピレーションの適応となるかどうかを判断します。レントゲン検査などの画像検査を行うこともあります。
3サイレントマニュピレーションについてのご説明
サイレントマニュピレーションの適応となった場合には、その内容についてご説明します。
内容にご理解・ご同意いただけましたら、治療に移ります。
4サイレントマニュピレーション
超音波画像で確認しながら、肩周囲の神経に麻酔をします。痛みが軽減したことを確認した上で、医師が無理のない範囲で肩関節を動かし、肩の動きの改善を図ります。
5痛み止めの注射・ご帰宅
麻酔の効果は数時間で切れてしまいますので、ご帰宅される前に肩関節に痛み止めの注射を行います。
治療後は、リハビリに積極的に取り組みましょう。
治療後の痛みは?注意事項
治療後、麻酔が切れると、痛みが出てきます。ただ、ご帰宅される前に肩関節に痛み止めの注射を行いますので、ご安心ください。
なお、サイレントマニュピレーションの目的は、肩関節の痛み、可動域を改善し、リハビリに取り組みやすくすることにあります。効果を十分得るため、また持続させるため、しっかりとリハビリを行いましょう。
サイレントマニュピレーションの費用
サイレントマニュピレーションには、保険が適用されます。
3割負担の方で、4,800円程度となります。
※あくまで目安です。診療の内容によって変動します。